『管理者研修』 (429) 「部下指導は 個々人の現有能力を把握してから」
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寺子屋ラッキー
こんにちは。開花だよりのシーズンとなりました。
さて、話を進める都合で舞台設定を江戸時代とします。【注】 時代考証一切無し。
菅笠(すげがさ)に手甲脚絆の一見弥七(水戸黄門初代弥七)風の股旅が振り分け籠を肩にかけ炎天下の街道を汗を拭き拭き歩いていた。やっとのことで目的地の手前にあると聞いていた小さな村へ辿り着いた。初めての土地は皆目不案内でわからない。
立ち止まって腰に下げていた水筒(みずつつ)を手に取り旨そうに飲んだ。ふと見ると人通りのない街道沿いの仕舞屋(しもたや)の前で縁台に座り、逆手に持った煙管(キセル)をプカ~リプカ~リと美味(うま)そうにくゆらす老人の姿が目に入った。被っていた菅笠を小脇に抱え声をかけた。
「失礼でやすがごめんなせー。隣村へ行きたいんでござんすが、アッシはこの土地には不案内でして。あと何刻(とき)みりゃよござんすでしょう?」と、訊いてみた。
「ホーケー、わからんズラ」とポツリと返事が返ってきた。
「なんでー、あんな言いぐさはネーだろう。無愛想なジジイだ!」と、旅人はムッとして挨拶もそこそこにその場を去った。
60間(100ⅿ)ほど行ったところで背後から大きく呼びかける声があった。
「お~い旅の方~、お待ちなせ~! 分かったズラ、はよ戻って来(き)んシャイ!」
「オィオィなんだヨ、せっかくここまで来たっちゅうにウルセーナ~。一体 何がわかったってンダ」と渋々戻ると、老人はにこやかに言った。
「さっき訊かれたことはわかったゾナモシ。あんさんの〝歩きっぷり〟なら隣村へは、そうじゃのー? 早けりゃ一刻(とき)半(3時間)ちゅうところじゃよ。そやナー今からじゃったら遅くても日暮れまでには着くことは間違げーねーベ。この辺りは昼間でも熊が出るでのー、気を付けて行きんシャイ!」と、教えてくれた。
旅人はたとえ少しでも老人を責めた自身の早合点を恥じながら「ありがとさんでござんした」と丁寧に礼を言って気分良く隣村へとスタスタ歩き始めた。以上ここで何を申し上げたいかをご理解いただけましたでしょうか? (タイトルを替え次回へ続く)
以上のことは、これまで「合理化」あるいは「聞き方」の中で紹介した『イソップ寓話』の中に似たような話があります。関心のある方は出典に当たってみて下さい。
では、昼休みをお楽しみください。ありがとうございました。
❒ 管理者研修講師『人材教育研究所』 (「部下をパートナーとして 職場目標を達成
しよう ‼」)