『社員研修』 (62) 「ドラマ『半沢直樹』にみる脚本家と役者」(2015年2月25日投稿分)【加筆修正再投稿】
【2020年07月12日 14:01 投稿分】
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寺子屋ラッキー
こんにちは。あなたは7年振りに放映された「半沢直樹 特別総集編(前編)」をご覧になりましたか? 視聴率は13.7%だったそうです。
7年前というと株式市場では日経平均株価が15年振りに終値2万円台に戻した年でもありました。当時生まれた子供が今は小学生だと考えると随分前の話のように思える。しかし先週の視聴率の数字を見る限り、前シリーズの最高視聴率42.2%には及ばないものの、人気は依然健在だと言えるでしょう。
ときに、原作をテレビドラマ化するには脚本家の存在も重要です。台詞(せりふ)を大切にする脚本家(劇作家)に橋田須賀子氏がいます。アドリブは一切禁止ということで、つとに知られている。以前、橋田ファミリーといわれる泉ピン子がそれを裏付けるように、「橋田先生の台本は台詞が長く、一言一句正確に記憶しなければならないので大変です」と言っていた。役者泣かせというのでしょうか。
ところで、俳優に見る一流と三流の違いは何でしょう。それは、どこまで感情移入できるかではないかと個人的には考えます。その一つは〝目〟です。<目玉>に表れるように思えます。
しかし、俳優(役者)が脚本も無しに演技力だけで視聴者(観客)を魅了できるとは思えない。やはり、台詞回しも必要でしょう。
そこで、あなたに改めての質問です。演技と脚本のどちらが大切だと考えますか?
これについてフランスの当時有名な俳優とこれまた有名な劇作家が論争した話(出典不明)があります。事実かどうかは別として、おそらくあなたの中にもお聞きになった方がおいででしょう。
場所は中華レストランでの宴会の席上、同席したお客は事の成り行きを、興味深く見守っていた。お互い主張しあって一歩も退かず、論争はどこまでいっても決着しないように思われた。その時、名優が次のように申し出た。
「分かりました。あなたは俳優の演技力より脚本が大切だとおっしゃる。私は演技力だと信じて疑いません。このまま話し合っていてはいつまで経っても平行線です。それならいっそのことどうでしょう。このテーブルにあるメニューで私の演技力を試させていただけませんか?」
提案を受けた劇作家は、どうせただのメニューじゃないか。精々面白おかしく読み上げるだけだろうと考えて言った。
「なるほど、それは名案ですナ。あなたがこの席でそこまで言われるのは、ご自身の演技力に余程の自信があってのことでしょう。私も皆さんと一ご緒に拝聴させていただきますので、どうぞお始めください」と承諾した。
言われて立ち上がった名優は、手に持ったメニューを悲しげな口調で読み上げると、わずかな時間で異変が起きた。なんと同席した人が感動し涙を流すだけでなく、中には嗚咽する者まで出てきたという。このことは小学校で聞いた覚えがあるが、あまりに出来すぎていて今もって信じ難い話です。
ただ、いくら技量があっても生かす場がなければ発揮しようがないのは役者もサラリーマンも同じでしょう。とにかく半沢直樹が視聴者を魅了したのは、脚本を見事に演じきった堺雅人が適役であることは間違いないでしょう。
そうしてみると、数多い俳優(役者)の中から堺雅人の潜在能力を見抜き抜擢した立場の人の「慧眼」にも敬意を表したいですね。
無論の事脇役を固め主役を引き立てるだけでなく、表に出ない各部署スタッフおよびそれぞれの持ち味を生かし総合力を発揮したリーダー(演出家?)の存在を忘れてはならないでしょう。
では、明日からも業務にお励み下さい。ありがとうございました。
『サラリーマンの生き方に上手下手は無かりけり 行く先々の水に合わねば』(松木錠)
❒ 社員研修講師『人材教育研究所』 (「過去と未来は『鉄の扉』。変えられる未来に
向かって挑戦しよう ‼」)
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