社員教育『期待される管理者』

皆さんこんにちは!『寺子屋ラッキー』と申します。職場生活で多少なりともお役に立つと思える事柄を、人を中心に申し上げていきます。よろしければお付き合いください。

『話し方教育』 (179) 「時間内に 必要なことを 整理して話せることも ビジネス能力」(※)書庫変更のため再投稿

【2020年09月25日投稿分】(書庫・タイトル変更、加筆修正再投稿)


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 こんにちは。終業時刻間際に失礼します。次はある会社での出来事です。


 その会社の部課長以上の定期人事異動発令は、毎年10月1日であった。9月末を控え経理部の月次定例部内会議が開催された。経理部は五つの課から構成されていたが、筆頭課の経理課長はあいにく当日出張していたため、係長が代理出席した。その日は珍しくオブザーバーとして、経理部所管取締役が出席した。


 部長の伝達事項と各課からの報告が一通り済むと、普段はこれで終わるのが慣例であった。ただ、その日は異例で、取締役から各課長へ報告内容について一人10分ずつの意見が順次求められた。代理出席した当該係長も例外ではなかった。


 指名された係長は立ち上がったものの、緊張していたことと人前での話が不得手ということもあり、話の内容が要領を得ぬまま時間だけが過ぎ着席した。会議終了後、参加メンバーが退席しヒッソリとした会議室には、取締役と営業部長だけが残った。取締役は立ったまま部長に話しかけた。


 「今チョットいいかね? 今日は中間管理者が日頃考えている忌憚のない発言を久しぶりに直接聴けて頼もしく感じたよ。ただネ、君の部からの秋の異動候補者名簿の中に、今日代理出席していた係長の名前があったよナ。彼は部内若手の『指導・育成』に熱心なだけでなく、フロー計算書を含む財務諸表など会社の数字にも詳しく税務監査にも対応してきた。事務系の〝技術屋〟とも思えることがこれまでにもしばしばあり感心している。


 今回君の部では課長候補として彼を出してきたが、異動予定先は当社では歴代社長を数多く輩出してきた屈指の名門大型支店だ。部下の数だけでなく組合支部交渉を始め営業所指導など所管業務も増える。加えて新型コロナ禍で経営環境が依然厳しいご時世だ。さっきの話しを聞いていて、この時期課長のポストを任せて果たして大丈夫だろうか? 
 人事に情は不要だ。『可愛い子には旅をさせよ』と言うが、それでも彼が仕事と人間性に問題ないだけに、『贔屓の引き倒し』でせっかくの異動で彼を潰してしまっては惜しい気がしてネ。


 最終評定者としての君が、筆頭課長佐藤君の『補佐役』としての彼の能力を認めて転出させたい気持ちは良く分かる。
 でも、どうなんだろう? もう少し様子を見た方がいいように私には思えてね。あくまでもさっきの彼の話を聴いていての〝所感〟だ。


 入社年次からみても彼はまだ若い。同期トップで係長に選抜された彼の将来性を考えた場合、どこか本社スタッフ他部門の係長職をあと一職位でも経験させ、「ゼネラリスト」としてのビジネス能力をさらに勉強させてからでも遅くはないと思うがね。全社的視点に立って一連の育成計画を実施する人事部長の考えもあるだろう。来週末の支店課長以上の異動稟議書社長決裁前に、今日のことを踏まえて念のため人事部長とも話し合ってみてくれないか。結果はともかくあとは君に任せるよ。


 まぁ普段の彼の仕事ぶりを見て一番良く知っているのは君と課長だから、ここへ来て余計なことを言ったかもしれん。気を悪くしないでくれ。じゃー失敬」
 取締役はメタルフレームのメガネ越しに笑みを浮かべて言うと、踵(きびす)を返し部屋から出て行った。一人残った部長は思案気な顔でブラインドを開け夕日に映える窓外へ目をやった。


 あなたもご存知のとおり、故事・ことわざに『人間万事塞翁が馬』があります。
 でも、どうなんでしょう? 「たかが話し されど話し」です。仮に担当業務には知悉(ちしつ)していても、人前で話すのが〝不得手〟というだけで『サラリーマン人生』が変わるとしたら、一考の余地があると考えます。


 話上手と口達者とは違います。余計なことを言うことは慎むべき場合も当然あります。それでも「必要なことを 必要なときに 必要なだけ」、与えられた時間内に話せることもサラリーマンにとっては大切な『ビジネス能力』だと思えますが、上役・下役・ご同役のあなたのお考えはいかがでしょう?


 では、今日も一日お疲れ様でした。良い週末を! ありがとうございました。



❒ 話し方教育講師『人材教育研究所』 (「過去と未来は『鉄の扉』。変えられる未来に向かって挑戦しよう ‼」)