『話し方研修』 (220) 「蜜缶 金缶 酒の缶 人は褒め(認め)ねば働かん」(その2)
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寺子屋ラッキー
おはようございます。ここでのサブタイトルは、かつて流行(はや)った懐かしい「CMソング」が頭を過(よ)ぎったことでリズム感を生かし、若干手直しして付けたものです。以下「話し方研修(218)」に続けます。
ときに職場では、管理者から「田中君はハッキリ言ってお客様との応対は苦手のようだが、パソコンテクニックを駆使してその都度目的に応じたデータ分析の処理能力の高さには感心している。おかげで私も安心していられるし、毎月部内会議に提出する資料でも鼻が高いよ。他課を合わせても君の右に出る者がいないのは事実だ。
最近の新卒はスマホ操作は得意だが、技術系でもワード・エクセルといった実務パソコン操作になると不得手とする者は決して珍しくない。
そこで相談だが、君のパソコン知識・技能を「初級程度」で課のメンバーに指導してもらえないだろうか。君の了解を得られれば、現在月1回行っている課内勉強会の講師をお願いしたいと思っている。
いずれは君も部下を持つ立場になる。今のうちから人に教えることの難しさを勉強しておいて決してムダにならないと私は考える。係長からも君の業務負担ならないよう配慮すると賛同を得ている。前向きに検討して欲しい。いい返事を待っている。よろしく頼むよ!」と言われたことが<事実>に基づいていれば、困ることはあっても気分を害する人は少ないでしょう。
第四は、最大級の褒め言葉を使わないこと。
「そんなに言ったら嘘になる」といわれるように誇張された最大級の言葉を使うと、相手は馬鹿にされたような気がするものです。最大級の人間がざらにいるわけがない。かといって、平凡なことばかりいっても嫌われる。相手は、社交辞令としか受け取らない。気の利いた言い回し方を工夫することです。
たとえば、お客様のお宅を訪問し「素晴らしいお庭ですね」というよりも、「しっとりとしていて、心が癒されるお庭です。川端康成の小説に出てくる雰囲気ですね」といった方がずーっと気が利いている。
ロシアの文豪チエホフが、ゴーリキの作品を褒めた中に上手いことをいっている。
「私はそれを書いたのが私でなかったことに、強い嫉妬を感じました」
しかし、よほど褒め言葉に気をつけないと、人格者の意味で「あの人はいい人だ」と、こちらは褒めたつもりで使っても、「あの人はお人好しだ」と、受け取られないとも限らない。
第五は、時には口でけなして心で褒めること。
チョット高度な使い方になるが、直接には褒めないことです。前に「部下の叱り方」で申し上げた〝否定の肯定〟の応用です。
たとえば、立て込んでいるラーメン屋でイライラした客が「オィ、何やってんだい。いつまで待たせんだよ。こっちは急いでんだ。俺はナ、ここのラーメンは高いけど旨いからこうしてわざわざ来てんだぞ」。これは、けなしているようで、実は褒めているのです。
つまり、褒め言葉らしくない褒め言葉。ストレートに真正面からいかないで、相手の意表をつく新鮮な褒め言葉をあなたなりに研究なさって下さい。
なお、職場で部下に忠告する場合に褒め言葉を併用する際は、部下の受け入れ態勢づくりの観点から「後褒め」より「先褒め」をお勧めします。
とにかく、口先だけでなく人を「心から褒める」となると、中々もって難しい事です。<度量の広さ>というより<面子の問題>もあり、簡単にできることなら古今東西リーダーは誰も苦労しないものです。
しかし部下指導・育成の観点から〝タイミング〟をとらえ部下の「モチベーションアップ」を図るには、身近にいる管理者でなければ部下個々人への適宜適切な『褒め言葉』は使えないように思えます。このことは子供のことを一番よく知っている親と同じく、部下の能力(知識・技術・技能・態度)を把握し人事評価の決定権者である管理者にも言えることです。
「部下を褒めて叱って育てよう」は言い古された言葉です。『働き方改革』が問われ行政改革の推進が実施されている現在、ここでのテーマをあなたはどのようにお考えになりますか?
では、二回に亘りお読み頂きありがとうございました。
❒ 話し方研修講師『人材教育研究所』 (「過去と未来は『鉄の扉』。変えられる未来に向かって挑戦しよう ‼」)