『社員研修』 (259) 「社内規程類は 原則と許容範囲を知り 権限内での運用を」
(2020年10月15日 投稿分)
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寺子屋ラッキー
こんばんは。当ブログでは「話し方教室」として記事を投稿することもありますが、「文章教室」ではありません。今回はこの先話を進める便宜上、変則的に〝ビジネス文書(書き言葉)〟を取り上げます。
日常会話では「やっと娘が片付いてね」と父親が言うのを耳にすることがあります。整理ではないが物を片付ける印象を受けます。が、使い方に間違いはありません。ただ、この「片付く」にフリガナを振るとしたら「かたずく、かたづく」のどちらでしょう?
かつて「殿・様」と同じく学者間で論争があったもののこれについては決着しています。
ときに、過日ニュース映像の中で「遂行」(ついこう)という言葉を耳にしました。そこで、今回は簡単なテストから始めます。次の漢字を読んでみて下さい。
「施行・重複・早急・発足(開始)・代替(エネルギー)・遂行」
簡単ですよネ。左から順に「せこう・じゅうふく・そうきゅう・はっそく・だいがえ・ついこう」と仮に読んだ方は、正式には「全て間違い」です。以前の都立職業訓練校の通学希望者に課せられた一次筆記試験(国語)では知っておく必要がありました。
正解は、「しこう・ちょうふく・さっきゅう・ほっそく・だいたい・すいこう」です。
この根拠は、『内閣告示』による「常用漢字表」「現代仮名遣い」「送り仮名の付け方」によるものであり、NHKを始めとする放送局あるいは新聞社ではこれを遵守しているものと思われます。そのため新聞社では、この「遵守」という言葉を使わず「順守」を使っていたと記憶しています。
ただ、内閣告示は「一般的な基準」を示したに過ぎません。ある語を他の同音同義語に書き換えることも認められています、
一例を挙げれば、「相性」は「合性」でもなんら問題はありません。送り仮名にしても「原則」と「許容範囲」が認められています。
ですから、代替を「だいがえ」と使う場合があるように、重複・早急・発足を「じゅうふく・そうきゅう・はっそく」と読んでも、遣い方によっては間違えとはいえないでしょう。
従って、「正式には全て間違い」という決め付け的表現は、言い過ぎとも思えます。
その点「菅内閣」の発足(ほっそく)時、閣僚のお一人が挨拶の中で遂行を「ついこう」と口にしていた覚えがあります。私の聞き違いでなければ間違いです。因みに一太郎は知りませんがワードに「ついこう」と打ち込んでも追行と変換され〝遂行〟は出てきません。
ただし、パソコンに〝ついこう〟をキーワードに検索すると、キチンとフリガナを付した「遂行」と併せて読み間違えを指摘したメタタグタイトルおよび説明文が表示されます。
対外的ビジネス文書での表記は、送り仮名一つにしてもいろいろ迷い悩むこともあるものです。誤用以外は表記方法も原則どおりにはいかないものです。
以上縷々(るる)述べたことは、日常生活ではどうでもいいことであり、人間性を疑われる『教養』とは何ら関係ありません。
ここで申し上げたかったことは、お客様からの相談内容を社内<規則・規程・基準>の原則だけで押し通すだけなら新入社員でもできるかもしれません。そうではなく「規程解明集・議事録」も含めて〝許容範囲〟を知り、あなたに与えられた『権限内』での運用を〝できれば〟図りたいものです。これも<サービス精神>表れの一環だと考えます。
因みにここまでスピーチしたとすると5分間に収まりますが、ブログ記事としては長いためここまでとします。今回もご覧頂きありがとうございました。
❒ 社員研修講師『人材教育研究所』 (「過去と未来は『鉄の扉』。変えられる未来に
向かって挑戦しよう ‼」)
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