『話し方研修』 (272) 「説得に当たっての 賢明な態度とは」
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寺子屋ラッキー
おはようございます。依頼・交渉・商談では、話し手と聞き手の双方が利害の計算をして対決の場に臨んでいます。対立した双方が相互の利害の一致点を見出していかないと、話は平行線のまま物別れに終わってしまう。
だからと言って相手を一方的に押しまくって屈服させるのでは「強(こわ)談判」です。無理やりこちらの意見を飲ませたとしたら、それはその場の勝利で終わるかもしれません。しかし、「おのれ~ほざきやがって許さん!今にみていろ」と、何らかの形でその後〝しっぺ返し〟を招くこともあるでしょう。
押し売りとか自慢話だけでなく、雄弁も時には相手の<自尊心>を傷つける。魚の口先にサー喰えサー喰えと餌を押し付けたら魚はビックリして逃げてしまう。魚心を知らない釣り人が失敗するように、相手の立場を考えない説得・交渉事は成功しにくいものです。
説得の第一条件は、「話すな、話させよ」と言っても過言ではありません。聞き手の心理を配慮せず、まるで水道の出しっ放しのように一方的にしゃべりまくることは、いかにもマズイでしょう。それよりも多くを聞き少なく語る態度に回った方が何倍も賢明です。
仮に相手の方があなたより多く話すということは、それだけあなたの提案に対する<関心・興味・熱意>のある証拠と思って良いでしょう。
であれば、次のようなことに頭を巡らせながら、上手な「質問」と適切な「相づち」で話を進めることで目的達成を図りたいものです。
1.相手は一体何を言おうとしているのか
2.その目的は何か
3.何故そのようなことを言い出したのか
4.矛盾した点はないか
5.ほかに言い足りない点があるのではないか
6.隠された意図がありはしないか
7.建て前と本音の違いは何か
人は「感情の動物」であり<自尊心の塊>です。こちらの言い分を理解・納得させ思い通りに行動させることができてこそ、始めてあなたの説得は成功したことになるのです。
したがって、あなたの提案に賛成させる場合でも、相手が自分で選び自分の意思で決めたという気持ちにさせることです。
古来「名を捨てて実を取る」と言います。あなたが〝プロポーズ〟に成功したのと同じく、実際にはあなたの誘導によって決定されたことであっても、あなたは形の上では助言者以上にならないことです。
因みに説得の名人といわれたソクラテスがアテネの青年達を説くに当たっては、「まず諸君から何か話してくれたまえ。それによって私は判断するから」と言ったという。哲人ソクラテスの説得は、まずは聞き手に回ることから話をスタートさせたのでした。実際には中々容易なことではありませんが、できれば見習いたいことです。職場での実践例はこの先で。
では、大型連休後半をお楽しみください。お立ち寄りいただきありがとうございました。
「語れ! それによってわたしはお前を見よう」 (ソクラテス)
❒ 話し方研修講師『人材教育研究所』 (「過去と未来は『鉄の扉』。変えられる未来に
向かって挑戦しよう ‼」)
#マネジメント
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