『管理者研修』 (345) 「上司の何気ない 言葉一つが 部下のやる気を左右する」
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寺子屋ラッキー
おはようございます。当書庫の前回『管理者研修(344)』に続けます。
お追従やおべっかは、口先では褒めても腹の中ではぺロリと赤い舌を出す〝さもしい〟人のやり方です。落語にもありましたでしょう。
「この赤ちゃん、おいくつですか」
「何を言ってるんだよ。産まれたばかりじゃないか」
「オヤッそうでしたか。1歳にしてはお若く見えますな」
仮にこれに近いことをヌケヌケと言えるのは、自分がその言葉を受け取る立場だったらどうだろうということを考えない、無神経な人ともいえましょう。
世間の人が、お追従・おべっかを嫌う理由は、事実ありもしないことやチョットした事実を大袈裟に拡大して持ち上げる言葉だからです。心ある人なら、その言葉は相手の本心からでたものか、翻弄されているのではないか、何か魂胆があるのではないか? と疑う。
そんな言葉に乗るほど馬鹿ではないと、言葉に出さずとも不愉快になる。
菊池寛の『忠直卿行状記』という小説の中に登場する越前宰相忠直という若殿は、武勇の誉れが高かった。「殿は偉大で超人で、天下無敵である」という家臣どもに取り囲まれ、剣術の試合をしても自分に勝てる臣下は一人もいないといい気になっていた。
ある日物陰で自分の噂話をしている家臣の声を立ち聞きした時、忠直の怒りは爆発したのだ。
「殿の試合のお相手にわざと手心を加えていることを殿はご存じないのだから、お目出度いよ」
自分の「能力」を正しく認められないとき、<プライド>は傷つけられる。忠直も同じであった。自分をとりまく一切を信用できなくなり、やがて自分自身の実力にも疑いをもちはじめる。臣下を切り酒色におぼれて乱行。挙句の果てにお家は断絶、晩年は別として自己崩
壊の道を辿ることになる。
本当の褒め言葉は、お追従・おべっかとは違います。あくまで『事実』の正しい評価を基礎にしていなければならない。また、その言葉には「実感」がこもっていなければなりません。ネット社会であっても人様から褒め(認め)られる機会は少ないものです。そのため部下は意外なところでの<何気ない一言>だけでも気分が良くなり、時には跳ねたくなることもあるでしょう。
そのようなことからOJT実施責任者である管理者は、日頃から部下を良く観察することが求められます。「部下指導(面談)用ノート」を用意して、注意点も含め〝記憶〟に頼らず記録する。気が付いたらその都度メモすることを習慣付けたいものです。
SNSに縛られ疲れているとも思えるご時世です。家庭におけるご主人は奥さんのお化粧・髪型への「関心ある一言」を、奥さんは家族のために働くご主人へ「会社へ行くあなたって素敵ね!」の働く意欲を高める一言を掛け合い労う。スマホから離れて憩いの一時を、〝たまには〟お過ごしになってはいかがでしょう?
では、良い週末をお過ごしください。ありがとうございました。
❒ 管理者研修講師『人材教育研究所』 (「部下をパートナーとして 職場目標を達成
しよう ‼」)
#マネジメント
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