『管理者研修』 (414) 「信賞必罰 後継者育成は 全社的視点で 行おう」
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寺子屋ラッキー
こんにちは。長くなりますがトーンを変えないよう別けずに一括投稿します。リピーターのあなたにはお時間がある時にご覧頂ければ幸いです。
さて、部下は誰もが「管理者候補者」であり「後継者育成候補者」としての<潜在能力>を有しているといえる。しかし、ツンツルテンの「チャンスの神様」は黙って冷たく行き過ぎる。僅かに生えているといわれる後ろ髪を掴めない。そのため潜在能力がいつどのように『開花』するかは本人はもとよりのこと誰もが分からない。分かれば悩むこともなく苦労もしない。
人は千差万別「大器晩成型(遅咲き)」の方もいる。神様といつ出会ってもいいように爪を研(と)いで備える前向きの姿勢も必要でしょう。
働き方改革が問われる時代、就業規則の書き換えによりかつてのサイドビジネスを副業として容認する企業が増えつつあるでしょうがその実態は知りません。SNSのご時世パブとクラブで利用者層(?)が異なる紳士淑女の国イギリスの職場事情はどうなのでしょう。
テレワークの推進で雇用・労働・職場環境が変わる中、あなたは職場で次のような話を聞いたことはありませんか?
週末金曜日の終業時刻前、課長は部長から手が空き次第別室に来るよう電話で指示された。
―失礼します。 お待たせして申し訳ございません。ー
「イヤーご苦労さん、そこへかけてくれたまえ。夕方の忙しいところ呼び出して済まないネ。実は君に打診しておきたい事があってな。このご時世、君が当社の念願だった世界商事への売り込みに成功したことで、社長がいたくお喜びになっていたことは、既に伝えた通りだ。そこで。改めて君に訊いておきたいことがあってな。
ほかでもない。君の異動の話だ。私が当部へ着任して3年半、君が当部へ配属になり3年。この職場では半年だけ私の方が先輩だ。個人的には君を手放したくないけどな、実は今までにも君の異動話がなかったわけじゃない。
ただ、サラリーマンは昇進すればどこでもいいというもんじゃない。君の能力からみて不満でネ。娘の縁談話じゃないが、これまで私が断ってきた。
しかし、今回は別だ。君の「論功行賞」としての福岡支店への転勤だ。ポストは総務部副部長だ。知っての通り役員の登竜門としての大支店だ。社員教育・訓練を含む総務・労務・経理を管掌する一般管理部門であり、マーケットインの対象は当社顧客から支社・営業所を含む支店所属社員へと変わる。
組合九州総支部との窓口事務局は労務課長が当たるが組合への会社説明で君の出番も多くなるだろう。地域対応だけでなく時には<マスコミ対応>も出てくるなど、テリトリーが広がるので今まで以上に忙しくなることは間違いない。総務部長の片腕としてスタッフ部門で君の力をこれまで以上に発揮できると私だけでなく上層部も期待している。いずれは出身母体のライン部門へ戻るだろうが、私も数年で定年になる身だ。特別な人脈がある訳でもないからそこまでは保証できない?
ただネ、温和な常務は技術士の資格をお持ちの技術屋さんだが、事務・技術系いずれを問わず『人の育成』には殊のほか熱心なお方でね。今回の人事案件は無論のこと常務も賛成し後押しして下さっている。
3月1日の春の定期異動発令には未だ早いが、福岡支店長への根回しは人事部長経由で済んでいる。話がひっくり返ることはまずないだろう。当社には内示制度は無いので「他言無用」だ。今回は特例として受け止めてもらって結構だ。
だけどナー、一般論として家庭内がゴタゴタしていて心配事があっては心置きなく働くのは、難しいように私には思える。その点ケースは違うが一つだけ心配なことがあってね。
高齢化社会が進展している現在、当社では「限定勤務地制度」を明文化していないが、家庭事情を全く配慮していない訳ではない。その点君は『自己申告書』には「単身赴任可」としてこれまで提出してきている。
しかし、兄弟姉妹のいない君だが、家には長らく寝たきりのご尊父がおいでと聞いている。介護施設の入居には頼らず家でお世話する奥さんに感謝せにゃんな。世間にはそうした家庭事情を会社へ一切知らせず相談もせずに転勤を続け、一部上場企業の社長にまでなった方がおいでのことはどこかで耳にした覚えがある。
そうした家庭事情を勘案すると、君の場合は受験期の息子さんもおり、家族ぐるみでの転居は無理だと思える。おそらく単身赴任を余儀なくされるだろう。今日は未だ金曜日だ。即答しなくてもいいから、精神的・肉体的に負担の増える奥さんともよく相談し決めてほしい。
知っての通り、本来人事は会社の専決事項であり本人の意向をその都度確かめる必要は無い。「人事に情は不要」だ。そのようなことをしていたら組織はバラバラになり成り立たない。だがね、君とは親分子分の関係じゃないが、私の補佐役として君には度々というか首の皮一枚残して助けられたこともあり正直感謝している。だからこそこうして腹蔵なく話しているんだ。
『禍福は糾える縄の如し』と言うが、サラリーマン人生も同じだよ。君はまだ若い。常務のお話は気にせず断るなら断るで近隣支店・支社への次の機会を待ってもいいんだよ。
とにかく全店特管職以上の一連の定期人事異動決済が控えている。1週間後の金曜日午前中までに可否の返事だけはしてくれたまえ。君がイエスなら次は君の後任人事を考えなけれならない。全店の候補者名簿から私なりに絞り込んではあるが、再度検討して来週中に当部としての受け入れ候補者を人事部へ提出しなければならない。短期間での処理事項だ。その時は当部人事担当課長としての君の最後のお勤めだ。知恵を借りるのでよろしく頼むぜ。以上だ。
モー時間かい? 歳のせいか時間の経つのが早くてネ。どうだね? 予定がなければたまにゃ一杯付き合わんかネ。OKかい。ジャー6時に正面玄関前で落ち合うとして席へ戻るとしよう。お疲れさん!」
と、いつもの癖であるウインクを軽くして立ち上がった。
自席に戻った課長は、パソコンを前に部下から上がってきた稟議(りんぎ)起案書原案に手を加えるため黙々として打ち込み始めた。普段は感情を表に出さない課長だが、部下を思いやる部長の言葉と表情(目)が思い出され、自分では意識していなかったもののいつしか表情が緩み、部下へ指示する声にも張りが出ていた。
ことほど左様に男女共に、人は『認識欲求』の強い複雑な生き物です。人事は<公正>であるべきもの。このように会社から日頃の努力を『正当』に評価さ(認めら)れれば、性別を問わず「サラリーマン冥利」に尽きると言えましょう。
良くも悪くも「内面的態度は 外面的態度に表れる」ものです。その気持が、表情(目・口元)・姿勢だけでなく『声』にも自然と出てくるのは何ら不思議なことでないことはこれまでにも申し上げてきた通りです。
世の中 ビジネス社会も含め当たり前のことが当たり前に行われないため「予期せぬ出来事」が生じやすいものです。ビジネス現場でのそれを四つに絞り、当たり前の「日常管理」と対比させて申し上げたことがあります。
間もなく立春 旧暦新年(?)です。季節だけは間違いなく推移していきます。目に見えない大きな力が働くことを否定できません。この不思議な自然の力を取り敢えず、宗教とは一切関係ない『神』と呼ぶことにしています。そのようなこともあり現在日本史にはまっています。いずれビジネス現場に置き換え問題提起していきたいと思います。
では、今日が給与支給日の会社も多いことでしょう。良い週末をお過ごしください。ありがとうございました。
❒ 管理者研修講師『人材教育研究所』 (「部下をパートナーとして 職場目標を達成
しよう ‼」)
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