『話し方研修』 (311) 「人は 認めて褒めにゃ 働かん」
こんばんは。褒め方については、既に「管理者研修」の中で採り上げました。今回は切り口を変え「話し方研修」の一環として申し上げます。
これまでの繰り返しになりますが、人は誰しも自分を認めて欲しいと言う「認識欲求」を〝本能的〟に持っている。あなたも例外ではないと拝察します。
褒める対象は、相手の性格(行為)、能力(仕事)、趣味(特技)、服装だけでなく、家族・住居をはじめとする生活環境、ときにはペット・コレクションといった所有物などが含まれる。褒め言葉を使うときの留意点は次の五つです。
第一は、具体的に褒めること。
よく口癖のように漠然と「立派ですね」、「素敵ですね」、「凄いですね」、「素晴らしですね」とだけポツンと無表情で言う人がいる。こうした抽象的言葉には心がこもっておらず、言われてもテンデ(方言?)分からない。具体的にハッキリとどこがどんな風に良いのか、あなたが認めた長所・美点を褒めるのがいいように思えます。
たとえば部下が「班長、任せていただいた圧搾機ですが、教えて頂いたとおりにやったら、何とかオシャカを出さずに操作出来るようになりました。ありがとうございました」と、喜んで報告してきたとする。
「そうかい。そりゃ良かったナ。君の腕だよ。あの機械は知っての通りチョット癖があってな。俺はあれを使いこなすのに1ケ月近くかかったかな。その点、松木は器用というか覚えが早いな。次はその上のマシンに挑戦だ。これからも安全に気をつけて、この調子で頼むぜ!」と言われれば部下は悪い気はしないものです。
それを「いいかね松木。お前があのマシンを早く使いこなせるようになったのは実力だと思ったら大間違いの基だ。私の長年培った技能を惜しげなく要領よく教えた通りにやったからだ。油断して天狗になっちゃあかんぞ。いいな。分かったら席へ戻って仕事をしなさい」と言われたのでは部下はガッカリする。
それだけでなく、「俺の努力も認めてくれないなんて。クソー、今に見ていろ俺だって」と、反抗心の塊にさせるかもしれない。
第二は、あまり目立たない美点を褒めること。
誰もが気づいている長所を褒めるよりは、たとえ小さなことでも本人も自覚していない点を褒めた方が良いでしょう。殊に誰もが気付かず本人が密かに認めてもらいたがっていることを見つけることです。
たとえば、「山田君、残業がなくなったんで最近スポーツジムへ通っているそうだね。そのせいか一時に比べだいぶスリムになって精悍な顔立ちになってきたぞ」
皆が褒めることをオーム返しのように同じ言葉で褒めるのでは能が無い。「また同じことを言ってやがる。この人もっと他にいうことないのかよ。ヨイショしようたってそうはいかないぞ」と本人は身構えてしまう。そのためには、日頃から相手をよく観察していなければ褒め言葉はいえません。
第三は、部分を褒めること。
全体を褒めないで、特定の部分を褒めることです。女性に対して「あなたはいつ見てもお美しいですね」というのはいかにも空々しい。
真偽の程は知りませんが、アメリカ人は毎朝奥さんに「I love you」と言わないと離婚理由になると聞いたことがあります。そのためか欧米映画のラブシーンには、「あなたの爪は桜貝のようだ。あなたの瞳の中には星が輝いている」などといった台詞が飛び出す。日本女性は分からないが、欧米の女性は表面的にでも褒め言葉に弱いのかもしれません。
では、次回迄ご機嫌よう。ありがとうございました。
❒ 管理者研修講師『人材教育研究所』 (「過去と未来は『鉄の扉』。変えられる未来に
向かって挑戦しよう ‼」)
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