『話し方研修』 (87) 「間(ま)としてのムダ言葉の働き」
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こんにちは。
あなたは句読点をご存知ですね。横文字ばやりの現在、大学を出ていてもこの使い分けを忘れている方がおいでなのは残念なことです。
では、次の一文に一箇所だけ読点を打つとすればどこに入れますか?
― 松木錠は病気で死んだわけではない。(松木錠は当方のペンネーム)
これでワンセンテンスです。あなたはどのように受け止めたでしょうか。短文ですが、読点(、)を打ち二つに分けるとしたらどこに打つでしょう。そこで、2例を示します。
その1は「松木錠は、病気で死んだわけではない」
その2は「松木錠は病気で、死んだわけではない」
これでは分かりにくいので、読点を丸に変えてみます。
その1は「松木錠は〇病気で死んだわけではない」
その2は「松木錠は病気で〇死んだわけではない」
如何でしょう。言っている意味の違いがお分かりになりまたか?
その1は、松木は死んでしまったが、死因は病気以外の例えば事故死かもしれません。
その2は、松木は病気ではあるが、未だ死んではいないということです。
読点の打ち方一つで意味が変わってくることをご理解いただけましたか。この文章は短いですから、一気に読んでしまいそうですが、この読点部分は、本来は「間」をとるべきところです。「そんな器用なまねはできないね」とお考えかもしれません。
それでは、読点の代わりに〇をつけましたが、そこに「えー」とか「まあー」を入れて再度読んでみて下さい。これならできますよね。読んでみて、無駄コトバがチャンと「間」の働きをしていることがご理解いただけましたでしょうか。
ですから、無駄コトバを全て無くす必要はないと、前にお話した次第です。
ただ、無駄コトバがクセになり頻繁に出てくると耳障りになるだけでなく、折角のいい話が「冗漫」になるので、気を付けましょうともお話したわけです。お分かりいただけましたでしょうか。
聞き手第一に考えた場合、「間(ま)」はともかくとしても話を棒読みするのではなく、強弱(際建て)がほしいものです。そうでないと間抜けは言い過ぎとしても間違いを招くことがあります。ありがとうございました。
❒ 話し方研修講師『人材教育研究所』 (「過去と未来は『鉄の扉』。変えられる未来に向かって挑戦しよう ‼」)