『管理者研修』 (390) 「リーダーは 目配り 気配り 思いやりを」
【書庫変更 一部抜粋 加筆再投稿】
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寺子屋ラッキー
こんばんは。夕食はお済ですか? これから5分間スピーチを行います。「人前で避けるべき三つの話題」(投稿済み)としての<政治・宗教・思想>とは関係ありません。
さて、アメリカ第47代大統領選も終わり来年1月就任に向けての次期政権のリーダーが決まりました。いつでしたかビデオ『ノルマンディー(将軍アイゼンハワーの決断)』の連合国遠征軍最高司令官アイゼンハワー大将(後の米国第37代大統領)を見ていての「草の根運動」発祥の地とも言えるアメリカらしい話を思い出しました。
昭和39年日本でもお披露目されたフランスのルーヴル美術館所蔵のミロのヴィーナス像は教科書であなたもご存知のことでしょう。ミロのヴィーナス像は世界で最も有名なバランスの取れた彫像です。現在では旧聞に属する話ですが、あのヴィーナス像が実はもう一体あったのをご存じでしょうか?
ミロ島で発掘された『ミロのヴィーナス像』はルーヴル美術館に所蔵され、もう一体はドイツの貴族が所持していた。第二次大戦中連合軍の猛爆撃で、もしこの偉大な美術品が破壊されては大変だと、ドイツ貴族は地中深く掘りそこにヴィーナス像を埋めた。
戦争終結に伴い平和が回復した。もう大丈夫だと判断した貴族はこの宝物を掘り起こしてオークションにかけた。何しろヴィーナス像である。とても個人が競り落とせる価格ではない。結局アメリカ政府が引き取りメトロポリタン美術館にこれを収めることになった。聞きつけた新聞社がいくら騒いでも記事は掲載させても写真は撮らせなかった。
やがてお披露目の日時が決まった。それでも写真撮影は除幕式まで許可が下りなかった。
いよいよ除幕式の当日がきた。会場の右端から左端の隅までヴィーナス像の前を通ってズーッとカーテンが張ってある。大勢の人がそのパーティーに集まってきている。開式となり各界名士が次々と来賓祝辞を述べる。
式次第に沿って一通り挨拶が済むといよいよカーテンのテープカットとなる。テープをカットしてカーテンがフワ―ッと開くと、燦然(さんぜん)としたヴィーナス像が表れる段取りとなっていた。
司会者がスタンドマイクの前に立ちその日の主役を紹介する。「これから除幕式を行います。本日の光栄あるこのカーテンのテープカットは〇〇婦人にお願いいたします」と言った。来賓者はいずれもが「ハテ(?)聞いたことのない名前だが一体誰だろう?」と顔を見合わせる。
すると一人の還暦も過ぎ60歳半ばと思われる女性が立ち上がる。いかにも質素な服を着た太ったご婦人である。
司会者は紹介を続ける。「この方が〇〇婦人でございます。今日までの35年間このメトロポリタンミュージアムに清掃担当として勤務し、毎日毎日一生懸命掃除をして頂きました。お陰で我がミュージアムはこんなにも綺麗になっております。そのようなことからして、本日の光栄あるこの<ヴィーナス像>のテープカットの大役は〇〇さんをおいてはいらっしゃいません」
司会者が言い終えるやワァーッと歓声が沸き起こり拍手の嵐となって会場中に響き渡った。この日の主人公である彼女は感激のあまり涙を流している。「アイゼンハワー大統領」当時のことである。アイゼンハワーも出席していたが、大統領自身も目頭を指で押さえていた。
やがて彼女は司会者にエスコートされ一歩一歩確かめるようにテープカットの場所へと近づいていく。司会者の合図でカーテンの紐をパット切ると、サァーッとカーテンが左右に分かれ燦然たる実に見事なヴィーナス像がその姿を現したそうです。
樹木には表と裏があるように法隆寺を始めとする古来日本建築ではそれぞれの長所を生かして材木が使い分けられているそうです。
企業にも表部門と裏部門とがあります。企業が永続発展するには、表部門が企業の顔だとすれば裏部門も支えています。ここでのご婦人と同じく日陰でコツコツ、コツコツと働いている人にも陽が射す機会の付与は口で言うほど簡単なことではないでしょう。
ですが、ビジネス現場は所属企業と同じく厳しい競争社会であることは誰しも承知しています。しかし働く人の欲求は、昇給・昇進・昇格だけを求めて働いている訳ではないことは前に申し上げたことがあります。
せめて『言葉』だけでも<血の通う>マネジメントを「人の側面」では各階層リーダーには期待したいですね。ベテラン社員のあなたのお考えはいかがでしょう?
では、ご家族・恋人・友人あるいは一人でゆっくりと良い週末をお過ごしください。以上で5分間スピーチを終わります。「寺子屋ラッキー」でした。ありがとうございました。
❒ 管理者研修講師『人材教育研究所 』 (「部下をパートナーとして 職場目標を達成
しよう ‼」)
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