『管理者研修』 (412) 「部下とのラポールを掛ける 聴き方」
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寺子屋ラッキー
こんばんは。人は苦労話や自慢話にみられるように聞くよりも話すことを好む動物です。また、認められたい動物でもあります。誰でも自慢したいものを無意識のうちにも持っています。<趣味・特技・健康・家族・地位・持ち物・体験・出身地>など何でも良いのです。どんな〝謙譲の美徳〟の持ち主でも、これらについて聞かれて黙っている人はおそらくいないと思えます。
一方、人は愚痴をこぼしたがる動物でもあります。いくら虚勢を張ってはいても人間は弱いものです。誰かに同情してもらいたい〝不平・不満〟があれば、そのはけ口が欲しくなる。とは言っても人様々、職場には生まれつきの性格だけでなく家庭環境をはじめ多くの要因があり、無口な部下や後輩も思いのほかいるものです。その場合はどうしたらよいのでしょう?
それには、前にもお話したイソップ寓話『北風と太陽』に出て来る北風のように力ずくでの一方的言い方は感心しません。それよりも太陽のようなじっくりとした〝聞き手〟に重点を置いた話し方に効果があるものです。上司から質問を投げかけ、上手な<相槌・うなずき>で話しを引き出すことです。「寺子屋」として『実践的話し方』の見地から以下3点に絞り申し上げます。
その第一は、答えやすいような簡単な質問をすること。
「黙っていないで何とか言ったらどうなんだ!」などと詰問調になってはいけません。無口な人でも気軽に答えやすいような問いかけをすることです。そのためには、順序良く簡単な質問をする。一度に数多くの質問を投げかけないこと。パチンコ玉ではありません。問いかけの連打では相手を混乱させるばかりです。
したがって、一つの質問で一つの答えを得たら次の質問に移るというようにして、相手に答える<間(ま)>を与えることです。
簡単な質問とは、具体的に短い言葉で問いかけ、それに対して簡単に答えられるような質問をいいます。たとえば、<なぜ・何を・どこで・いつ・誰と・どれだけ・どのように>などです。
こうした簡単な質問には誰でも答えやすいものです。簡単な問い言葉を使いこなすことで、部下・同僚・後輩の本心を解したり色々な問題点を発見したりすることができるものです。
第二は、喜んで答えられるような質問をすること。
これこそ聞き手に回る一番楽な方法です。人間は、どのようなことを問われたら話したがるか、それを考えての質問を投げかけることです。
第三は答えざるを得ないような質問をすること。
人間は、利害関係に敏感な動物です。その質問に答えないと自分にとって不利な事柄や立場を認める破目に陥ることもあるもの。そのような場合は、誰でも黙ってはいられません。
濡れ衣を着せられたら堪(たま)らない。黙っていれば〝損〟をする。そのようなときには、普段無口な人でも口を開くことでしょう。
そうした場合、相手に喜んで答えさせる質問とは、まずは相手がどんな悩みをもっているかを知り、その〝的(まと)〟を見極め質問の〝矢〟を投げてやることです。その質問が的確であれば、「不平・不満」を聴き出し、職場の『問題解決』に役立つこともあります。
「イヤー忙しいところ呼び出して済まないネ。実は松木のこういう噂をチョッと耳にしてナ、将来のある君のことを考えると確かめたくなってね。もし事実なら差し支えない範囲で事情を話してもらえないか?」と問われれば答えないわけにはいきません。
「なるほど、そういうことだったのか。聞いてみないと分からんな、そりゃ悔しかっただろう。もっと早く言ってくれれば少しは力になれたのに、水臭いぞ。だけどナ、それはお前だけのことじゃないぜ。お互い家族のためにも頑張ろうや!」と、一般社員同士なら慰め合うこともあります。
たとえば、よく昇給・昇格・昇進・賞与の時期ともなると、居酒屋の片隅で同僚に愚痴っているサラリーマンをコロナ禍前には見かけたことがある。これで悩みが軽減するなら酒代も安いものといえるでしょう。
繰り返しになりますが、質問する際に気をつけるべきは、相手を不愉快にさせるような「詰問調」になってはいけないということです。さらに言えば、相手がよく知っていない事柄とか相手が隠したがっている質問もタブーです。
日頃から部下に関心を持ち注意し観察していれば、相手の音声(音調・語調・調子)および態度(表情・姿勢・動作)からある程度はつかめるものです。このことは常日頃子供と接している母親が子供の嘘を見抜くのと同じです。
『実践なき知識はゼロ』です。カール・ロジャースの「積極的傾聴法」など書籍・ネットなどでの情報は入手し易い時代です。オンライン時代の職場マネジメントを行う上で<聞く・聴く>および<訊く>並びに<利く>に関心のある方は各自で研究し、人まねでなく個性を生かし創意工夫なさってみてください。
では、またj次回です。連休中遊びにおいで頂きありがとうございました。
❒ 管理者研修講師『人材教育研究所』 (「部下をパートナーとして 職場目標を達成
しよう ‼」)